偏愛シチュエーション

18推CD、同人音声の感想ブログです。内容にふれているため自衛お願いします。

Apparition~付喪神/貴女の名前を知られてはイケない(CV:一条ひらめ)

同人サークルDestruction発、祖母の形見の護り刀に宿る付喪神との生活を描いた作品。声は一条ひらめさん。こちらのサークルの作品ははじめてだったのですが、キャストと付喪神設定に惹かれて購入しました。

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ヒロインは事故で家族を亡くし、ただ一人の肉親だった祖母も病気で亡くなり天涯孤独の身。祖母の遺言に従い、祖母が所有していた山中の屋敷にやって来たヒロイン。彼女の前に、和装で長髪の青年が現れます。彼は祖母の形見の一つである護り刀に宿る付喪神で、義忠(よしただ)と名乗ります。ヒロインが小さい頃に出会っていたと言いますが、ヒロインに記憶はなく。祖母が亡くなったことを察知していて、これからはヒロインが主だと言い名前を尋ねてくる義忠。ヒロインは祖母の言いつけで名乗ることを拒否します。付喪神に名前を教えると、神の世界に連れて行かれると教えられていたのでした。義忠は杖をついているヒロインを手助けします。ヒロインは交通事故で怪我をして以来、足が不自由になっていたのでした。これからは俺があなたの足になりましょうと、抱き上げられ屋敷へ向かいます。

 

家の中には温泉があり、長旅の疲れを癒すため入浴することに。恥ずかしがるヒロインの手を引き、浴室に入る義忠。あなたのかわいらしさは今でも変わらない、とキスされます。緊張で身をこわばらせるヒロインに、決してあなたを傷つけない、俺に全てを預けてと言う義忠に寄り掛かることに。人ではないものの体温はあり、ヒロインの赤く染まった耳をざくろに例えます。ずっとヒロインが主になるのを待ち望んでいたと、ヒロインの体にキスを落とす義忠。誘うような甘い声にヒロインは脱力、夜伽もまた俺のつとめと言われ寝室へ。

 

寝室でキスをしつつ、ぎこちないヒロインに経験を尋ねる義忠。聞くとヒロインは未経験で、恋人はいたものの交通事故がきっかけで別れてしまったのでした。傷心の彼女を慰め、優しくすると体に触れます。ゆったりとした口調でヒロインをいたわり、何度もキスをして体を重ねることに。来るか分からないあなたをずっと待っていた、外の世界にあなたの幸せがないなら俺があなたを幸せにします、とプロポーズのような言葉が。失意の中にいるヒロインに優しい言葉と行為が染み渡るようです。

 

以後、屋敷で付喪神と生活を送ることに。ある日、屋敷の扉を激しく叩く音が。祖母から相続した駅前の土地を所有しているヒロイン、地上げ屋に狙われ山中の屋敷の存在を突き止められてしまった様子。ヒロインが屋敷に来た理由の一つが、彼らから逃げることだったようです。事情を聞いた義忠は、代わりに応対すると玄関へ。丁寧に地上げ屋を応対し、彼らを外に連れ出す義忠。その後地上げ屋が屋敷を訪れることはなく、義忠と二人きりの静かで穏やかな日常が戻ってきます。義忠に身の回りの世話をしてもらい毎晩抱かれ、彼なしではいられない体になっている様子。いつしか二年の月日が流れ、義忠に手足を拘束されても興奮してしまうとか、すっかり溺れてしまっています。ヒロインを焦らし、敏感な場所を避け手や舌で奉仕する義忠。達したくてたまらないヒロインに、義忠は提案を持ち掛けます。いきたいならあなたの名前を教えてくださいと告げられ、ここでグッドエンドとメリバエンドの分岐が発生することに。

 

終始古風な言葉遣いで湿度高めのゆったりと穏やか、上品でそれでいて色気ある声の囁きが心地良いです。リアルではありえないほどの献身と執心ぶりですが、相手が付喪神で疑問を感じなくてすむ設定が秀逸。古風な言葉遣いなのに途中から隠語を口にするのが意外だったのですが、サイトのレビューに「時間経過を感じる」という指摘があり、なるほどと思いました。ヒロインを何度も抱くうちに、濡れ場での語彙が増えた結果と納得。

 

メリバエンドは狂気を感じるものの、二年間ずっと一緒にいたことを思えばこれはこれで幸せな気がしました。事あるごとに名前を教えてと請われたり、頻繁にざくろが出てきたりと義忠の狙いを想像させる要素も面白かったです。収録時間、SE、キャラクターの言葉のチョイス全てが絶妙で上質な脚本と構成、演技を体感出来ます。ゆっくりじわじわと先行きが想像できる流れで、納得の展開と結末で楽しく聞けました。