ステラワース発茶介さんの一人二役による、夫と義弟に翻弄される昼ドラばりの愛憎劇。脚本ひよさんとキャラデザ天野ちぎりさんの黄金タッグによる、二枚同時発売の作品です。
ヒロインの夫、白坂貴文（しらさか・たかふみ）は大企業の御曹司で跡取り息子。二人は恋愛結婚で結ばれた仲のいい夫婦なのですが、仕事などのストレスで貴文がEDになっていました。何度も試みてはいるものの本番が出来ず、子どもを作れない状態。ヒロインは貴文行きつけのカフェの店員で、彼がヒロインにアタックして進展した仲で、貴文の母には良く思われていない様子。早く子どもを作るようプレッシャーをかけられているけど、両親に貴文が不妊とは告げられずにいるのが現状。ヒロインは貴文を励まし、姑の嫌味に耐える日々を過ごしていました。
ヒロインが母屋のダイニングで朝食を取っていると、義理の弟・白坂裕之（しらさか・ひろゆき）に声をかけられます。この家が一般家庭とは異なること、それゆえ人間関係、特に親族間の付き合いの難しさを気遣われている様子。何かあったら相談してと、義理の姉だからというだけでなく本気で心配してくれているようです。
仕事から帰った貴文を、泣きはらした目で迎えるヒロイン。いつまでたっても子どもが出来ないなら別れろ、と義母から言われたことに傷ついていたのでした。ヒロインをいたわりつつ、君に大切な話があると切り出す貴文。弟の裕之も呼び出し、一緒に話を聞くことに。裕之とヒロインの間に子どもを作って欲しい、といきなりの要求を口にする貴文。自分と裕之は顔のパーツがよく似ているからきっと大丈夫、他の男との子どもをもうけるぐらいなら裕之の方がいいとか耳を疑うような言葉が。病院にも通っているが治療が進んでいないことを告白、ヒロインと別れないためにはこの方法しかないと言います。戸惑う裕之相手に、土下座までして頼み込む貴文。精神的に追い詰められ、涙ぐむ貴文をヒロインは慰めます。ヒロインとセックスするけどいいのかと尋ね、二人の覚悟を聞き裕之は子どもを作るためヒロインを抱くことを了承します。
ヒロインと裕之は、寝室で行為に及ぶことに。今夜は僕ではなく、兄さんに抱かれていると思ってくださいとヒロインに触れる裕之。兄の代わりと言いつつ、ヒロインとのキスに感じ入っている様子。敬語でたどたどしく触れるも、ヒロインを抱けて喜んでいるのが隠せていません。あまり経験がないと言うけど、舌使いの音が中の人の熟練ぶりを感じて仕方ない。
事後、貴文と対面すると熱烈にキスされます。貴文はこっそり二人の行為を覗き見たこと、それを見てとても興奮したことを告げます。今すぐ君を抱きたい、今なら何度でも出来る気がすると言われ、貴文に抱かれることに。裕之と交わった後のヒロインの体に興奮し、前戯もせずするとか今までが嘘のようにヒロインにがっつく貴文。久しぶりに二人で出来ることを喜び、何度もセックスすることに。裕之への嫉妬がきっかけで復活したのかも、とこれからは二人で子どもを作ろうと嬉しそうです。
その後、数日はヒロインを抱いたものの、また本番が出来ない状況に。裕之とヒロインがセックスしている姿に興奮した、寝取られに興奮する変態だと自嘲する彼。悲しむ貴文をヒロインは慰め、提案を口にします。夜、再度裕之を寝室に呼び出し、今度は二人でヒロインを抱くと言う貴文。抵抗する弟相手に、裕之がヒロインを女として見ていたことを言い当て、三人で幸せになろうと誘いを掛けます。裕之は背徳感を覚えつつ、二人でヒロインを抱くことに応じます。
裕之が言っているように冷静に考えたら他の方法もある気もしますが、セックスして子どもを作ることにこだわるあまり、義弟とする展開や寝取られに興奮する夫とか作風があまりにも昼ドラ。高級マンションとかじゃなく夫の両親や義弟と同居なのが、昭和の設定なのとツッコみたくなる作風でした。貴文は低く落ち着いた声で、弟の裕之は高めの声で敬語とギャップが楽しめます。力関係やリアクションで歳の離れた兄弟に聞こえますが、設定では二歳差なのが驚きです。
暗めの作風ではあるものの義弟愛編より平和な印象で、いびつだけど本人たちは幸せそうな。仕事のストレスや閉鎖的で厳しい家庭環境から一時解放されるのが、貴文にとっては寝取られや三人ですることなのかなと思いました。ヒロインとの行為は家のためのつとめで、愛しているけど家のことが頭から離れなかったんじゃないかと。真面目な気質もあり倒錯的であるほど興奮する、背徳感や罪悪感を感じつつするのが最高のスパイスのように感じました。
