偏愛シチュエーション

18推CD、同人音声の感想ブログです。内容にふれているため自衛お願いします。

愛玩調教~恥辱の慰み者~(CV:胸板鉄板ミート)

同人サークルストロベリィシュシュ発、時代物を彷彿とさせるDL作品。怪しい見世物小屋で芸をして生きる男女の物語。すごいタイトルでエロ特化のように見えますが、残酷な描写ありの純愛作品です。

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孤児であるヒロインと同じく捨て子だった少年ミヨシは、幼い頃からいつも一緒で身を寄せ合い生きてきました。盗みなど方法を選ばずに生きてきた二人、極貧ながら彼らは美しい容姿の持ち主。ある日、その容姿を買われ見世物小屋を営んでいる怪しい一座に拾われることに。二人は芸を仕込まれ、舞台に立つ日々を送っていました。二人が舞台でする芸は、感覚を共有する双子の設定。快感も共有し、同時に絶頂するのを見せるという内容でした。出番の後、芸に失敗したヒロインはミヨシに罵倒されます。座長に失敗を責められ、ヒロインの代わりに平謝りするミヨシ。見逃して欲しい、ここを追われたら行くところなんかないと必死です。座長がヒロインに体を売らせると言うと、ミヨシは涙ながらに辞めて欲しいと懇願。自分が女の振りをして代わりになる、となりふり構わない言葉が。座長に手を挙げられるもちゃんと教え込むからと頭を下げ、なんとかその場をやり過ごします。先程まですごい勢いで謝っていたミヨシ、座長が去ると死ねばいいと吐き捨て態度が豹変。ただの脅しだから気にすることはない、客となんて死んでもさせないとヒロインを励まします。さらに、そんなことがあったら俺があいつを殺すとか言葉があまりにも物騒。ヒロインが何か失敗するたびミヨシが後始末をするのが日常とのことで、過酷な日々を送っているようです。

 

 

その夜一座の面々が大部屋で眠る中、布団をかぶり身体を重ねる二人。日頃からゆるくぼんやりしているヒロインをミヨシは心配、自分以外の男に裸を見せたり触らせたりしないよう釘を刺します。昼はきつくヒロインを罵倒していましたが、布団の中では彼女を溺愛している様子。声を出さないよう注意しつつ、耐えられなかったら俺の腕を噛めと言うミヨシ。快楽とヒロインの腕への噛みつきの激痛に悶えつつ、最後までするさまが溺愛と環境のひどさを物語っているかのようです。 

 

翌日は二人そろって休み。無人見世物小屋の中で、芸の稽古と称し色事の指南をミヨシから受けることに。休みの度二人で稽古をしていて、練習ではちゃんと芸が出来ているヒロイン。舞台の時とは打って変わって、ヒロインを褒め嬉しそうなミヨシの声が聞けます。当然稽古だけで済むわけはなく、ミヨシに抱かれることに。芸で客に体を見せることはあっても腹の奥は俺だけのものと、独占欲と嫉妬がすごいです。今は二人きりだけどここは大所帯の一座の小屋の中で、こうしていられるのはほんのわずかな時間。休みの日でもヒロインとくつろげない今の状況に不満なミヨシに対して、ヒロインはここを出たくないと言います。以前は盗みで生計を立てていたという二人、ヒロインはミヨシに危ないことをして欲しくないため、一座に留まることにこだわっていたのでした。

 

後日、舞台に上がる二人。今日も感覚を共有する双子の芸を披露するはずが、ヒロインに欲情した客が舞台に上がり、彼女の体に馬乗りになるというハプニングが。ミヨシは激高、客を罵倒し殺さんばかりの勢いで殴ってしまいます。舞台は中断、警察が来るほどの騒ぎに。ミヨシは客を殴って舞台をめちゃくちゃにしたことを謝罪、ヒロインは何も悪くないと頭を下げますが、二人ともクビと座長は告げます。ミヨシの懇願で、一人だけ許すと言う言葉が。許すのはヒロインだけで、自分の慰み者にすると言う座長。ヒロインに欲情する者が許せないミヨシは、座長に襲い掛かります。

 

 

男性キャラクターが触れたら切れそうな激しい気性の持ち主で、怒鳴るシーンがかなり多く情緒がかき乱されました。落語の江戸っ子のようなべらんめえ口調で早口で啖呵(たんか)を切るという、他作品にはない演技が世界観によく合っていました。巾着切りや口吸いや下郎など、時代物を彷彿とさせる言葉もムードたっぷり。ミヨシがヒロインを守っているようで、ミヨシもヒロインに依存している、というこの世に二人だけの関係が強くて危ういです。舞台上での双子設定は嘘ですが、片方に何かあればいてもたってもいられない姿はさながら魂の片割れ。生まれた頃から身寄りはなく極貧で選択肢はなく、きれいごとでは生きられない、泥水をすすってでも生きる姿に正論をぶつける気は起きませんでした。芸は売っても心は売らない姿には潔ささえ感じます。上の立場の人間や、無情な世の中へのはらわたが煮えたぎるような強い怒り、ヒロインへの重いほどの溺愛と独占欲、不安定な内心が痛いほど伝わってきました。激しくもろく、したたかと女性向け作品よりも青年誌に出てきそうな、清濁あわせ呑むキャラクター像が鮮烈です。世界観やキャラクターの描写が見事で、心が揺さぶられました。