偏愛シチュエーション

18推CD、同人音声の感想ブログです。内容にふれているため自衛お願いします。

透明な魚(CV:茶介)

透明な魚

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ホビガールズの新レーベルpapilio第一弾作品。声は茶介さんで、ヒロインが勤めるカフェで出会った作家とのやり取りを描いた作品です。
コーヒーを頼んだ男性客の、文月桧征(ふづき・かいせい)という名前が気になるウェイトレスのヒロイン。文月桧征はヒロインが憧れる作家の名前。ヒロインが本名なのかと尋ねると、客の名前を憶えているのかと彼は驚きます。自宅が工事中で、仕事をするため近所のカフェに来たと言う彼。ここからカフェに通う桧征との交流が始まることに。
ある日気分転換に付き合ってもらえませんかと話しかけた桧征に、ヒロインは一冊の本を差し出します。それは桧征のデビュー作「透明な魚」でした。何年も前に絶版になった本で、読みこまれた本の様子に桧征は喜びます。本にサインをし、仕事終わりに駅まで送りたいと言う彼。ヒロインは遠慮するものの、桧征に「女性は大事に守ってあげなくちゃいけないものですから」と言われ送ってもらうことに。その後も接客に失敗したヒロインを桧征が庇ったりと、距離が近づいていきます。

 

何故そんなに自分の作品を気に入ってくれたのか、とヒロインに桧征は尋ねます。登場人物同士のつながりに深い愛情を感じる、とヒロインはコメント。嬉しい言葉に桧征は喜びます。早くに母を亡くしたとのことで、家族の愛情に憧れているんだそう。作品の中だけでも取り戻したいのかも、と桧征は言います。
別の日、カフェ近くの住宅街で木を見つめるヒロインに桧征は声を掛けます。ここは桧征の家の庭だったのです。新作の草稿を読んでみませんかと言う桧征。家の中に上がるのは抵抗があるでしょうと縁側ではあるものの、積極的です。渡された原稿の束でうっかり指を切り出血したヒロイン、桧征がとっさに彼女の指を舐めるのですが時間が長いよ。庭にはいくつもの木が植えられていて、泥棒対策とのこと。市内では最近空き巣が多発していて、物騒な様子。数日前からヒロインに元気がない、と桧征は心配を口にします。ヒロインは最近視線を感じる、ストーカーかもしれないとつらそう。桧征と駅で別れた後視線を感じるという言葉に、これからは駅までと言わずに自宅まで送ると言い出す彼。それも大丈夫なのかと思うけど、熱心な申し出を受けることに。さらにお守り代わりにと、万年筆をプレゼントされます。色々理由を言ってますが、ヒロインの手の大きさにちょうどいいのでは、とかヒロインのこと見過ぎでは。

 

後日仕事終わりのヒロインを家まで送るべく電車に乗り、二人でヒロインの自宅へ向かうことに。話題は桧征の新作のこと。最近はじめてのラブストーリーを書いている、作風が変わったと言います。大事な人が出来たからと、告白のような言葉が。ヒロインは万年筆のお礼を言い、どうしてこんなに良くしてくれるのか桧征に質問。店に二度目に行った時僕のことを覚えていてくれたことがすごく嬉しかった、自分は存在感が希薄なんだと孤独に生きてきたことを話します。あなたが見つけてくれた、出会った時からずっとあなたに恋をしている、と重いほどの告白をされます。次のトラックで熱心にキスしてて濡れ場に突入しているのかと思いきや、そこはヒロインの部屋の前。ヒロインも桧征が好きと告げ、気持ちが抑えられなくなったのでした。慌てて帰ろうとする桧征を引き留め、ヒロインは部屋に彼を招待。あなたを抱くと言う桧征を受け入れ、抱かれることに。

 

カフェの客と店員の出会いから距離が縮まっていく展開で、ささやかな恋かと思いきや違いました。セリフや出来事に不穏さがにじみ出ています。穏やかな文学青年で低姿勢かつ紳士だけど積極的と善人のはずが、何故それを知っているのと言いたくなるセリフが随所に出てきて、頭の中でアラームが鳴っていました。怪しんでたけどいい人なんだと思ったら実は、というラストにやはりという気分。ヒロインもおかしいことに気付いているけど、真摯かつ熱心な愛の言葉とエロに流されてしまった様子。孤独で女性慣れしてないかというとそうでもなく、攻め方も執拗です。耳を舐めて「脳髄を犯される感覚を味わってください」と言ったり、内臓を意識させるセリフとか、この人は今まで一体どんな恋愛遍歴を歩んできたんだと。セリフや展開が丁寧に蜘蛛の糸のように張り巡らされ、いつの間にか捕らえられている気分。痛みやどぎつさはないけど、この人ヤバいなと言葉の端々に感じました。一周して聞き直すとこのセリフはこうだったのでは、とじわじわと来ます。