偏愛シチュエーション

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Masquerade 二章 正義(CV:河村眞人)

Masquerade 二章 正義

 HOBiGIRLS neige発公爵家のヒロインをめぐる異世界ファンタジー第二章。声は河村眞人さん。ヒロインと彼女の兄ノエルに仕え、近衛騎士団長でもあるクロヴィス・オルランディのターンです。第一章同様、公式で8本のSSを見ることが出来ます。

HOBiGIRLS Masquerade 二章 正義

 

ヒロインはティリア王国のアルドナート家の令嬢で、隣国ラウルス王国に嫁ぐことが決まっている女性。結婚祝いとして、嫁ぐ前に仮面舞踏会を開くことに。貴族が公爵のお屋敷でパーティーを楽しむ中、貴族の圧政に苦しむ領民達が暴動を起こし舞踏会に乱入してくる事態が発生。驚いたヒロインは、ごく一部の者しか知らない秘密の部屋に逃げ込みます。そこで見たのは血まみれで倒れる父アルドナート公爵と、腹違いの弟であるレオ・アルドナート。レオは両手を血に染めていました。ここで分岐が発生します。


秘密の部屋にかけつけたクロヴィスは、レオが公爵を殺害したと思い斬りかかります。ヒロインはクロヴィスに保護され、屋敷から連れ出されることに。クロヴィスがヒロインを連れて来たのはオルランディ家の別荘。しばらくここで身を隠すよう指示されます。ヒロインの弟レオは公爵の子どもではあるものの、母が妾で周囲から蔑まれてきました。彼は公爵家に恨みがあると噂されており、足繁く下町に通い反乱の機会を窺ってきたのだろうとクロヴィスは語ります。秘密の部屋にいたのはレオと公爵で、部屋の鍵を持つ他の者が公爵を殺すのは不可能、犯人はレオだろうと言います。ヒロインが信じられないと言うと、レオに違いないとクロヴィスは声を荒らげます。レオのことになると平静でいられないクロヴィス、レオに恨みでもあるかのような口調です。

 

ヒロインが部屋でうなされていると、クロヴィスが駆け込んできます。苦しげなヒロインに「お許しください」とつぶやき、ヒロインに唇を重ねるクロヴィス。「私がお側におります、あなたをお守りします」と祈るような様子。意識を取り戻したヒロインに、過呼吸を起こしたための医療行為と言います。不安げなヒロインを気遣い、声を掛けるクロヴィス。ヒロインを慰め肯定する言葉が優しいです。主従関係で普段はヒロインを咎める言葉を口にするけど、本心ではヒロインのことを大事に想っていることが伝わってきます。二人は幼馴染で、ヒロインの初恋の相手はクロヴィスだったのです。昔のような距離の近さはなくなっていたのですが、歌を歌ってとヒロインがねだったりと元は仲のいい二人なのが分かります。

 

別の日、ヒロインに馬の乗り方を教えるクロヴィス。ティリア王室に保護を求めず、辺境にあるアルドナート家の遠縁の領地に逃げると言います。領民の反乱が鎮まっていない今は身を潜めるべきという判断とのこと。二人で馬で移動し、宿に泊まりつつ追手から逃げる日々を送ることに。ある日、父や兄からの手紙で情報を得たクロヴィス。動揺した様子で状況をヒロインに報告します。公爵殺害後、暴動を起こした領民達はその直後レオとユーリ(ヒロインの幼い弟で、跡取りになる予定だった)をも殺したと言います。兄のノエルは行方不明。レオは父の遺体やユーリを守るため戦い敗れたそうです。レオが犯人と思い込んでいたクロヴィスは混乱している様子。ヒロインは疑問を口にします。仮面舞踏会の夜、裏口から逃げる時最初から馬に二人乗り用の鞍が用意されていたこと、まるで逃げることを予見していたかのごとく準備が整っていたこと。クロヴィスが父を殺害したのでは、とヒロインは疑っていたのです。クロヴィスは断じて公爵を手にかけていないと言います。クロヴィスは何故ヒロインを連れ逃亡したのか、伏せていた事実を語り始めます。

 

ヒロインを昔から愛しているけど、彼女に仕える騎士であるため気持ちを表すことは出来なかった―使命と愛情の狭間で揺れ動く気持ちを語ります。レオに対する嫉妬と劣等感を、はじめてあらわにするクロヴィス。強い正義感と忠誠心、内には悩み怯える人間らしい心。一見完璧な騎士は理想が高く、それゆえ悩み深いことが分かります。想いが通じて結ばれる時も主であるヒロインへの畏敬は崩れず、心からヒロインを愛しているのが伝わってきます。

 

今回もハッピーエンドとバッドエンドが存在します。ハッピーとなっていますが過酷な運命を乗り越えた末で、どちらかというとビターエンドかなと思いました。二人が結ばれるには大きな犠牲を払う必要があったんだなと切なくなります。バッドエンドではヒロインがある決断をすることに。真面目で忠誠心が高いクロヴィスがその性分故に、暗黒に墜ちてしまった様を聞くことが出来ます。
今巻のサブタイトルは「正義」。クロヴィスが騎士で正義感が強いキャラクターであることからきているのはもちろんですが、複数の正義がテーマになっていることに気付きます。シリーズも中盤になり、最終章に向け謎が解き明かされていきます。作品のスケールの大きさに驚きました。