偏愛シチュエーション

18推CD、同人音声の感想ブログです。内容にふれているため自衛お願いします。

電波は呼んでいる(CV:三橋渡)

同人サークルひつじのひつぎ発、電波が聞こえる引きこもりの兄と妹のやり取りを描いたDL作品。

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ヒロインの兄・筑波翼(つくば・つばさ)は引きこもり歴三年の青年。三年ぶりに部屋から出たはいいものの、自動車教習所の車に自身の精液を塗り付け、近所の住人に通報されます。翼は警察に身柄を拘束され、留置所に入れられ五日経過。妹であるヒロインは夢に出てきた兄からのメッセージを聞き、面会に行くことに。ヒロインと対面するも電波を送った、核シェルターの準備は出来ているかとか話す兄大丈夫か。三橋さんの声でなめらかに一方的に、意味不明な話を聞かされます。引きこもりなのに、しゃべりが説明的ですごく流暢だな。

兄が言うには高校の修学旅行の時、赤鼻様という教祖様(?)が出現し、電波を与えられたとのこと。そこから祈りの電波戦士になったと言います。以来電波が聞こえるようになり、カルト鬼という敵によって第三次世界大戦が起こる、自分の精子に逃げ込めと妄言を吐くように。妹であるヒロイン相手に話していても、言ってることがよく分かりません。

 

後日、ヒロインが面会に行くと対面してすぐ、その服万引きしたのかってどういう挨拶をしてくるのか(責めたり嘆くわけではなく、あっけらかんとしたしゃべり)。翼は何故兄はこんな風なのかと思ってるだろう、とヒロインに言います。自分の言動を客観的に捉えて話すのかと思いきや、人の理不尽に対する悩みもカルト鬼の策略だとか、やっぱりおかしいぞ。何故か家族間の殺人の話を始め、人は皆殺意を持って生きている、人類皆間接殺人者だとか延々としゃべる翼。かと思えば、仲間の電波戦士の話を始めたり取り留めがないです。その時、ヒロインの頭に耳鳴りが。翼がヒロインに手をかざし、耳鳴りはなくなったとかそれで治るのか。別れ際にヒロインに電波を飛ばすがいいと声を掛け、やっぱり大丈夫なのか。

 

耳鳴りに苦しみ、翼に起こされるヒロイン。今までのことは夢かと思いきや、兄の言葉はどこまでも電波と中二病な妄想の話。耳鳴りを治療する方法は、近親者とセックスすることだと言います。翼は二人を阻む壁をあっさり破壊、兄妹なのにと言うヒロインを組み敷き何度もキスをします。抵抗するヒロインに電波で頭がやられてるんじゃないか、とかなんの責任転嫁よ。ヒロインを脳内で犯していたと話し、以前から妹に欲情していたよう。最中でも早口で説明的なの、電波というかどこまでもオタクなしゃべり。兄的には興奮して感じ入っているようです。事後ヒロインの耳鳴りは収まるも、今度は翼の頭に耳鳴りが発生し苦しむことに。月が赤く染まりカルト鬼が出現した、第三次世界大戦が始まろうとしていると告げ、留置所の屋上へ逃げることに。

屋上へたどり着くも敵の侵略が始まってしまった、数分後にこの世界は終わると翼は嘆きます。電波戦士の攻撃も効かない、他に手はないのとヒロインに聞かれても、諦めてしまっている様子。今までの元気はどこへ行ったのか、急に弱気です。翼は何故電波の話をするようになったのか、真実を語り出します。

 

40分程度の尺で、非常に濃縮された作品でした。三橋さんのなめらかで上手すぎる演技と、独創的な脚本を聞いているうちにあっと言う間にラストへ。兄の詭弁で話が進み常識的に話したかと思えば、脳がバグっているかのような妙なしゃべり方をしたりと振り回されました。暴力や罵倒はないけど頭の中がぶっ飛んでいて、なんか妙な世界に行ってしまっているなという印象。シチュエーション音声ですが、ラジオドラマを聞いているかのような気分になりました。口語より文語でのしゃべり多めで、誰か字幕を、と思ってしまう情報量の多さと内容の突飛さに圧倒されます。文語中心の語りがこの作品の異質さを際立たせていて、ライターの方の語彙の豊富さに舌を巻く気分になりました。