偏愛シチュエーション

18推CD、同人音声の感想ブログです。内容にふれているため自衛お願いします。

ベッドの下に誰かいる。3(CV:KNOCK永街)

同人サークルICECRYSTAL発、ヒロインの部屋のベッドの下に潜む誰かとの接触を描いたシリーズ第三弾。幼稚園が同じだっただけのストーカー、普段から親しい男友達ときて今回は実兄。シリーズが進むごとに近い関係性になり、第三弾は血縁者と設定やジャケ絵だけでヤバさを想像してしまいます。声は、特殊なキャラクターやシチュエーションの作品にいくつも出演されているKNOCK永街さん。

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ヒロインには桂馬逸斗(けいま・いつと)という、医大に進学し数年前実家を出た四歳年上の兄がいました。離れて暮らすも二人は仲のいい兄妹。ヒロインは現在大学一回生で、充実した日々を送っていました。夜、実家の自室のベッドで眠るヒロインのそばに逸斗の姿が。実家を出て大学に通っているはずの兄が何故ここに。逸斗は大学に進学したものの妹と離れることに耐えられず、こっそり実家に戻っていたのでした。妹含め家族に戻っていることは告げず、溺愛する妹の部屋のベッドの下で生活しているという設定がすでにヤバイです。

 

眠る妹のすぐそばで彼女のバッグを漁ったり日記帳に目を通したり、個人のプライバシーとは。スマホのチェックも欠かさず、メッセージアプリの写真に男が写っているのを見て勝手に削除とか大丈夫なのか。妹に男が近付くのが我慢ならないらしく、一人で毒ついてます。普段はヒロインに睡眠導入剤を使って目が覚めないようにしている(!)そうですが、今日はよく眠っているから薬は使わずにしようとか、今から一体何が始まるのか。お兄ちゃんが添い寝してあげる、と言い服を全て脱ぎ裸に。待って感覚が追い付かない。パジャマがはだけたヒロインにこんなの意味ないよと、服を脱がせる逸斗(??)。母経由でナイトブラ贈ったのにつけてない、とかなんの愚痴なの。二人とも裸になりアダムとイヴみたいだね、とか兄が妹を勝手に脱がせてるんですけど。序盤から思考が色々謎です。幼い頃の添い寝の思い出話を語り、子守歌を歌い出すとか本人はうっとりしてますが、傍から見たらホラーでは。逸斗が医者を目指している理由も、妹の裸を他の男に見せないためとか、もうどこからつっこんだらいいのか。自作のおとぎ話を語りつつ、ヒロインの体に触れる逸斗。医大生ゆえ体の部位の名称に詳しく、ひとつひとつ丁寧に聞かされます。逸斗の指はヒロインの下半身に伸び、語りも官能小説のように。擦り付けの実況がこんなにドラマチックになるんだ(白目)。全身触れられつつ睡眠学習と称し、うんちくと共に正しい日本語による医学用語を多く聞くことに。

 

シリーズの1、2作目ではベッド下に潜む彼とのはじめて(睡姦)が描かれていましたが、今回はすでに兄妹のセックスは実現した後(こちらも男性キャラクターからの睡姦)。1のヒロインは最後まで目を覚まさない(開けない)、2のヒロインは途中で目を覚ましそのまま抱かれる、3のヒロインは本番前に目を覚まします。目を覚ました妹に逸斗は慌てて、これは欲求不満が見せる夢と言い聞かせ眠らせてしまいます。

前二作も前戯がとても長いですが、こちらもかなりでした。妹にさんざん色々なことをしている逸斗ですが、その夜のセックスは彼にとって大きな意味を持つものでした。血縁者であることをまるで気にしていないかのように思えたのが、逸斗なりに一線を引いていたという言葉を聞くことに。

 

前二作の男性キャラクター達がしていることは犯罪ながら、行動や言動の理由が一応頭の中で説明がつく印象でしたが、今回の兄は何もかもが突き抜けていました。序盤から感覚ズレてるなと思いつつ後ろについて走っていたはずが、加速し大きく離され兄がゴールのテープを切る背中を大分後ろで見ている気分。兄の脳内には、完璧な妹像が構築されているのかなと思いました。現実の妹(といっても眠っているけど)のちょっとした反応に狂喜したり、感極まって泣き出したりするのは、彼なりの答え合わせなのかなと。二人は仲のいい兄妹とのことですが、普段から会話が成立しているのか心配になりました。複雑かつ独創的な兄のキャラクターを演じられた、KNOCK永街さんの想像力と表現がすごかったです。ベッド上のみの作品ながら顔の位置の微妙な変化が感じられ、言動や行動は異常だけど声を荒らげるシーンはほとんどなく、ささやき中心で息遣いや声のトーンで感情の揺れを表現されていたのが見事でした。

 

ベッド下シリーズは男性キャラクターひとりによるしゃべりでのみ進行する、シチュエーション形式が非常に上手く作用している作品。他の二作品が溺愛や執着心の強さを聞くことで怖さが薄まっていた印象だったのに対し(個人の感想です)、今回は完全にホラーだったと思います。予想出来ない発言や行動だらけで、笑って聞いたところもあるのですが、それだけ常人離れしてるんだろうと。自覚のない狂気や執着は本人にとっては当たり前のことで、基本的に語りが落ち着いている分、より異質さが際立っていました。兄の頭の中の一部を垣間見るも理解や共感は不可能な、ブラックホールのようなキャラクターに感じました。