偏愛シチュエーション

18推CD、同人音声の感想ブログです。内容にふれているため自衛お願いします。

やさしい楽園-エーロスの章-(CV:茶介)

『やさしい楽園』-エーロスの章- / 茶介www.dlsite.com 

ダブリルムーン発「やさしい楽園」セカンドシーズン第三弾にして最終巻。他の巻では穏やかだったりクールな表情のキャラクターが描かれているのに対して、今回は不敵で野心的な表情。声は茶介さん。
茶介さん演じるグガランナは、天才と呼ばれた人形師エンリルの弟子。エンリルの娘であるヒロインは、父やグガランナと一緒に天魔の集会に来ていました。落ち着かない様子のヒロインに、グガランナは声をかけます。相談したいことがあると言うヒロイン。集会から帰り、ヒロインはグガランナに人形作りについて尋ねます。グガランナは師の代わりに、自分の名前は出さずに人形を作っている様子。自分の思うままに人形を作れたらいいと彼は話しますが、ヒロインは納得していないよう。さらにヒロインは、自分のことをどう思っているのかを聞きます。大切に思っていると言う彼に、具体的にどう思っているか追及するヒロイン。強気です。最初は戸惑っていましたが、ヒロインのことが好きだとキスをします。君はどうなんだと聞かれ、ヒロインも彼に口づけます。以前から惹かれ合っていた二人は、結ばれることに。果てた後、うめき苦しむ彼。ヒロインは彼の胸、心臓の上に呪印を書きました。胸の呪印は契約ではなく、隷属の証。グガランナの能力を恐れていたのか師は娘に呪印を刻ませ、彼を娘の人形にしたのです。人形になったグガランナは、もう人形を作ることは出来ないと叫びます。俺も師も最高位の人形も、全部おしまいだと怒り狂う彼。激怒したグガランナは師エンリルの家に火を放ち、あたりを焼き尽くします。

 

そして現在、ヒロインが人形師でグガランナが人形のはずが、ヒロインは彼のいいなりになっていました。ヒロインはどうなるか知らずに、父に従いグガランナを人形にしてしまったよう。罪滅ぼしのつもりか、グガランナの性奴隷と化したヒロイン。道具を使われ、グガランナに翻弄されている模様。暴力を振るわれたりはしていないものの、ぞんざいな扱いです。エナジーを得るため交わり、ヒロインに人形を作る手ほどきをしているようです。主従関係は逆転しており、まるでヒロインが人形であるかのような扱い。グガランナはまともな人形師には頼めない人形を作る手配をしていて、粗悪で不完全な人形がここメイズに増えつつあるのでした。生きることに意味なんかないとつぶやく彼、自暴自棄になっているのか、回りを巻き込んで破滅の道を歩もうとしているのか。


その後、ある天魔を模した人形や以前壊れやすく作った魔獣と、そのマスター達がアトリエに訪ねてきます。彼らが自分に復讐しに来たのではと思ったグガランナは、ヒロインに結界を張るよう命じ奥の部屋に逃げます。黒い水を吐いたり、咳き込んだりと体調が良くない様子のグガランナ。弱った彼はヒロインに本音を告げます。生きることに意味なんてなかった、だから存在を肯定してくれる人形が必要だった、人形だけは裏切らないはずと。彼はずっと蔑まれて生きてきたと言います。人形を作ることで憎しみを忘れていたのです。それが人形にされ、渦巻く感情をコントロール出来なくなったと言う彼。自分は憎悪に支配され、悪意をばらまく化け物だと。師のはかりごとがきっかけで狂い、彼の心は闇に墜ちていました。道連れにすると粗悪な人形を増やしても孤独は消えず、絶望していたグガランナ。彼は意識を失くし、倒れてしまいます。



グガランナが目を覚ますと、傍らにヒロインがいました。死んでないのかとつぶやく彼、エンキドゥとアヌンナキ―師弟関係である二人の人形師が、グガランナを救ったのでした。胸の呪印はなくなり、契約が解けていました。人形になっても自分は出来損ない、さっさと壊せと言う彼に、ヒロインはグガランナが大事と告げます。以前は純粋な気持ちで人形を作っていたグガランナ、彼はヒロインを自分の人形にしたいと思い、ヒロインもそれを望んでいました。復活出来たのはヒロインが大事にしていた宝石・ブラックスターを使い、彼の体を組み直したから。世界に混乱をばらまき、自分をいいように扱っても、ヒロインがグガランナを愛する気持ちは変わりませんでした。グガランナは罪悪感や同情と思っていましたが、ヒロインはずっと彼を愛していたのです。グラガンナが人形になったこと、彼が人形作りをヒロインにさせていたこと、一見ネガティブに見える要素が合わさって奇跡を生んだことが感動的です。

 


通常なら倒されて終わりになりそうなキャラクターにスポットを当て、救いの道を歩む展開が良かったです。楽園シリーズは半分ほど聞きましたが、男女が出会い片方が人形になる過程と、二人の濡れ場中心の印象でした。今回はダークな作風で、望まず人形になってしまったキャラクター。恋愛やエロだけでなく、他者からの承認を渇望する苦悩を描いていてより深い作風に感じました。今までの作品を踏まえた作りで、楽園シリーズをすでにいくつか聞いている人向けの内容です。いきなり今巻を聞くと、はじめて聞く言葉がいくつも出てきて困惑しそうだなと思いました。

ダブリルでの出演は二回目となる茶介さん、野心家で自暴自棄、寂しげだったり枯れた表情も見せる複雑なキャラクターを熱演されていて、まさに適任でした。