偏愛シチュエーション

18推CD、同人音声の感想ブログです。内容にふれているため自衛お願いします。

官能美術館 -千匹皮- (CV:茶介)

官能美術館 -千匹皮- / 茶介

グリム童話「千匹皮」がモチーフになっている、二人の男に愛されるファンタジー要素ありの作品。声は茶介さん。
ヒロインが最近オープンした店に入ると、店主である火馬栄(ひうま・さかえ)という男性に迎えられます。そこはギャラリー兼カフェの「ミュゼ・ソンシエル」。官能美術館という意味で、栄が曾祖父から引き継いだ美術品が展示されています。ヒロインは壁に掛けられた絵に興味を持ちます。「千匹皮」というタイトルの絵には男女が描かれていて、二人は親子とのこと。王妃を亡くした王が、娘である王女と近親婚をする内容だそうです。その時、ヒロインに「姫」と呼びかける声が。栄かと思いきや彼ではない様子。ヒロインは気を失い、絵の中の世界に引き込まれます。

 

ヒロインが気付くと見知らぬ部屋の中にいて、訪ねてきた男性に迫られます。彼はヒロインのことを王女にすると言います。ここは千匹皮の物語の世界の中で、彼は近親婚を望む王様のようです。王はベッドでヒロインの身体に触れ、本番前までされてしまいます。王の話によると、今隣国に王女との婚礼を要求されているとのこと。王女と一緒になりたい王は森の中に家を建て彼女をそこに住まわせ、神隠しにあったことにしたいよう。王はヒロインを森の中の家に連れて行きます。家を建てた際口封じのため大工を殺し、そこにたまたま通りかかった老婆の喉を潰し小間使いにするとか、残酷なことを明るく話します。王女に獣の革で作った千匹皮と名付けた毛皮を渡し、これを着て外に出れば魔物と思われ誰も近づかないと言います。あっけらかんとしてますがヤンデレというか、童話ならではの残酷な行いです。

 


ヒロインはここは彼女にとって夢の世界と王に説明します。王に名を尋ねるヒロインに名前などない、与えられた宿命をまっとうするだけと言います。王は作られた物語の中にいて、与えられた役割を演じているだけという自覚がある様子。グリム兄弟が作者の物語で、自分が作られた存在であることを認識しています。王のことを凛々しいと言ったヒロインに惹かれ結ばれたいと思い、能動的にヒロインを愛するようになった王。彼が意志を持ったことで物語とは異なる展開が現れたようです。婚礼の儀で王はヒロインを抱き結ばれることに。王はヒロインと一緒になることを望んでいますが、それが叶わないことを知っていて悲しい印象。

 

 
同時期に花鏡より「Miraculous Encounter(ミラキュラス・エンカウンター)」という天使が出てくる、現代が舞台でファンタジー要素多めの作品がリリースされています。奇しくも同じキャストでファンタジー作品という偶然が重なりました。古美術を扱っているお店が舞台なのも共通しています。ミラキュラスは設定の話や過去のエピソード多めで、こちらの「官能美術館」は童話をモチーフにしつつ官能シーンが多く、創作の中のキャラクターの恋と悲哀と対照的な内容になりました。茶介さんによる一人二役で情熱的で古風な物言いの王様と、物腰が丁寧でしたたかな店主の演じ分けも見事でした。