偏愛シチュエーション

18推CD、同人音声の感想ブログです。内容にふれているため自衛お願いします。

極道の男は哀を詠う(CV:二枚貝ほっき)

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カナリアレコード発極道の男との恋を描いた作品。18推作品では珍しい着流し姿に太い首、刺青が覗く胸筋の男らしいジャケ絵が目を引きます。脚本はひよさんで、声は二枚貝ほっきさん。
時は昭和中期。ヒロインはヤクザの組長の娘で現在大学生。実家が任侠であるものの、普通の人生を歩んでほしいという父の配慮で、今はマンションで一人暮らしをしています。ある日帰宅途中、組の若頭である倉田志郎に遭遇します。志郎の身体には血がついていて、本人も弱っている様子。仕事中返り討ちに遭い負傷した、助けてほしいと言われます。見かねたヒロインは部屋に志郎を上げます。ヒロインをお嬢と呼び、敬語で話す志郎。しばらく話していると、部屋の電話が鳴ります。組の者からの電話で、志郎がヒロインの父である組長を刺して逃げたことを知らされます。志郎はここにはいない、こちらに人員は不要と言えとヒロインに命令する志郎。ここにいることを言ったら殺す、ヒロインを人質にするつもりで部屋に来たと告げ、彼女の身体を縛ります。父を刺した理由を問い質すと、殺りたかったからと理由になっていない答え。ヒロインには関係ないとか何を言ってるのか。就寝中の組長に刃物で襲い掛かり、組長は志郎の肩を刺したと言います。

 


立てこもるかと思いきや、しばらくすると実家に戻れ、兄貴達の前に自分を突き出すようヒロインに指示します。先程はヒロインを人質にと言っていましたが、罰を受け殺される覚悟の様子。それでもヒロインは彼の元を離れようとしません。志郎はここから去るよう命じ、声を荒らげます。傷つけられるのは嫌でしょう、親父さんを刺した自分のことが憎いでしょうと脅しますが、ヒロインは応じず。ヒロインは志郎のことがずっと前から好きで、その気持ちに志郎も気づいている様子。ヒロインが本気であることを知った志郎は、たまらず彼女に口づけします。こんな形で身体に触れるなんてと恐れつつ、気持ちを止められずヒロインを抱く志郎。


極道の男が相手となっていますが、男性キャラクターが事件を起こした後ヒロインと過ごした時間にフォーカスした作品です。ヤクザの構成員としてよりも倉田志郎という男性の半生が垣間見られる作りで、事件を起こすに至るまでの感情描写、ヒロインへの想いを聞くことが出来ます。貧しさと世間から受けたきつい仕打ち、過酷な環境に身を置いていた少年時代が語られます。荒んだ内面と腹の底にくすぶった激しい怒りを持ち、組に入った彼の目的と葛藤。理不尽に悩まされ苦しんだ末の捨て身の覚悟。

 

ほっきさんの男らしく落ち着いた端正な声が聞けます。濡れ場は敬語で恐れと敬意が感じられ、べらんめえ口調も入った湿度高めの色っぽい声が絶妙です。真面目かつ熱意あるしゃべりで、重いほどの一途な言葉が本気だなと。ひよさんのセリフ選びや構成の巧さが際立ってます。能動的で意志あるヒロイン像も良く、昭和の設定も相まって雰囲気ある作風に引き込まれました。