偏愛シチュエーション

18推CD、同人音声の感想ブログです。内容にふれているため自衛お願いします。

ステラワース特典「As Time Goes By」Rouge et Noir -Maximum Bet- ピットボス アーレン・クライヴ(CV:テトラポット登)

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本編終了後のアフターストーリーで、数年後二人が再会する話。ステラワース特典CD収録の実質本編2枚目にあたる内容です。
一連の事件から数年、アーレンの墓に花を供えに来たヒロインに男が声を掛けます。彼は逮捕されていたはずのヴァン。ヴァン逮捕後ヒロインはマトリを辞め、現在はアメリカ在住。ヴァンは本来極刑か無期懲役になるところですが、証拠がない自白では裁けない罪がいくつもあり数年で釈放されたと言います。自由の身になったヴァンの唯一の心残りはヒロインのこと。ヴァンはヒロインに望みを聞きます。彼女の望みはヴァンといること。口調は静かですが心は決まっている様子。二人はヒロインの部屋へ行き、冷えた身体を温めるため抱き合います。

 

数年経過して再会したヴァンは以前のような高圧的なところはなく、穏やかに話します。本編では行為の際目を見るなと言っていたのが、ヒロインをひざに乗せ目を見てするとか優しい抱き方でした。好意を口にすることをためらい、許されないと思っていたと語る姿は以前とはまるで別人。今まで散々人や組織を利用し、出し抜いてきた男がなんだか不器用です。目的ありきだったり仕事絡みなら恐ろしく有能だけど、役割や目的がなくなってしまうとどう振るまったらいいか分からないとか、根は真面目で律義な男性なのかなと思いました。

 

ヒロインとヴァンの関係は最初から騙し騙される計算づくの仲で、何もかもがひっくり返っていました。近くにいても好きと気持ちを告げることも、二人で暮らすことも想像出来なかった。マトリや幹部、FBI捜査官といった役割がなくなり、ただの男と女になったことでようやく普通の幸せを手にすることが出来たように感じました。二人で朝を迎え「恋人同士になったかのような錯覚を覚えた」とか彼にとって普通が一番縁遠いことだったんだなあと。

 

ヒロインとのやり取りを勝負で語っていたヴァン、彼は男女の仲でさえ勝ち負けで捉えていたのではないかと思います。常に自分が先を行かなければならないと。ハウスに入ってからは対等な人間関係はなく、部下や同僚に監視の目を光らせいつ裏切るか、害が出る前に手を打たなければならないという、常に緊張感ある関係ばかりだったのではないかと想像しました。この話がアナザーエンディングではなく、アフターストーリーであることが感動的です。ストレートに描けば不幸にしかならなそうな話をハッピーエンドに着地させる脚本、構成に感銘を受けました。