偏愛シチュエーション

18推CD、同人音声の感想ブログです。内容にふれているため自衛お願いします。

私の小鳥-Gold-(CV:黒井勇)

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ツナボニコレクションズ発「私の小鳥」第5巻。近世ヨーロッパの小国を舞台にした王族との恋愛を描いたシリーズ。今巻が最終巻ですが、時系列的には1番古いエピソードです。1,2巻の王子達の兄であり、3,4巻の王子と王女の父である国王様が王になる前の話です。声は黒井勇さん。

 

黒井さん演じるのはリヒトブルク国の皇太子で、現国王の第一子ヴィルフリート。視察のため地方都市グリューエンを訪れています。現地の貴族の家に滞在中で夜疲れて戻ってきたところに、夜伽を命じられ待機していたヒロインと対面します。地方視察の際よくある光景で、一夜妻を提供する貴族が多いと言うヴィルフリート。女好きの国王が皇太子だった頃の振るまいの影響とのことで、ヴィルフリートは迷惑している様子。ヒロインは貴族の娘ではなく使用人で、親の借金があるため命令を断れない立場。彼女を気の毒に思ったヴィルフリートは、夜伽の証拠と言ってヒロインの首筋に痕をつけます。すぐ帰るわけにいかないヒロインに一緒のベッドで眠ることをヴィルフリートは提案、子ども向けの話を聞きたいとリクエストします。7歳で寄宿舎に入れられ城では本を読んでもらったことがないと言う彼に、おとぎ話を読み聞かせることに。ヴィルフリートは父である国王からゴルドと呼ばれている話をします。ヴィルフリートの髪はブルネット(褐色)なのですが、彼の両親は金髪。ゴルドという呼び名は皮肉で、父は母の不貞を疑っていて二人は不仲と言います。

 

ヴィルフリートはヒロインを気に入り、視察に同行し市場で話を聞き出すよう命じます。情報を集めた褒美に、祖父の形見である護り刀を渡されることに。国の内政が荒れていることを憂い、改革すべく動いているヴィルフリートに感銘を受けたヒロイン。彼女は「ヴィルフリートが国王になる姿をそばで見たい」と手伝いを申し出ます。ヴィルフリートは彼女の思いきりの良さ、警戒されずに人から話を聞きだす能力を高く評価し、城に迎えることを決めます。ヒロイン大胆かつ有能です。ヒロインは密偵として雇われることに。彼女に小鳥の呼び名が与えられます。

 

城にある教会に表向き修道女として働くヒロインの元に、ヴィルフリートがやって来て国王の身辺を探ることを命じます。最近家宝が売却されていて怪しいと言います。愛人やいかさまな投資、賭博に金をつぎ込んでいるのではないかと。この国では博打は違法で、国王でも例外ではないと言います。国王は国が荒れているにも関わらずろくに手も打たず放置、女性にだらしなく愛人が多くいて子だくさん。統治者にはふさわしくないと実子に思われるほど、かなり好き勝手振るまっているようです。調査の結果、王が借金して賭博をしていることが明らかに。ヴィルフリートは民のため父王を引退させるべく奮闘します。

 

ある夜、ヴィルフリートの部屋に報告のため忍んで来たヒロイン。最初は現状報告などしていたのですが、ヒロインが童話の本を持ってきたと言うと喜ぶヴィルフリート。かわいらしいとヒロインに言われ向きになり、じゃれているうちに不意に「抱きしめてキスしてくれ」と言われキスすることに。軽く口づけるヒロインに大人のキスをしようと、貪るようにキスされます。激務をこなすも理解者や協力者が少なく、心が休まらないヴィルフリートを案じるヒロイン。彼を癒したいヒロインは身体を差し出そうと服を脱ぎます。ヴィルフリートははじめ戸惑っていたものの我慢できなくなり、自分を恥じつつお前のせいだと言ってヒロインを抱きます。最後にキスしながら余裕なくあえぎ、それでもキスは止めない熱い濡れ場でした。事後、彼はヒロインに過去の女性経験を告白します。ここでも父が絡んできて、恋愛に恵まれなかったことを知らされます。

 

改革を目指す王子様ということで、今回は政治絡みの話で難しめです。情報量がとても多くなんとなく聞くことは不可ですが、一条和矢さん演じるキャラクターが出てきたりと最終巻を飾るにふさわしい豪華さ。「私の小鳥」シリーズは国の情勢や身分の話もありつつ、基本ヒロインと男性キャラクターのやり取りで進行するシリーズ。キャラクターの恵まれない境遇や、理不尽な身内の話が出てきたりしますが結構ほんわかした、深刻な作風でないのが特徴です。今巻でもその作風は踏襲され、会話劇とラブロマンス中心のお話となっています。途中ピンチに陥るシーンも出てきますが、戦ったり血なまぐさい展開はないので安心して聞けます。


とにかくヴィルフリートが魅力的。男らしく合理的で率直、気位が高く古風かつ知的な口調と、若いけどアダルトで色気ある黒井さんの声がよく合ってました。弱者への想像力を持ち、複数の角度から人や物事を見る視界の広さを持っていて、王になるにふさわしい器の大きさを感じさせます。大人びているかと思いきや無邪気だったり自信がなかったりと、王子様なのに抱きしめたくなるようなかわいさがあって惹きつけられます。そんな王子がヒロインを溺愛とか最高すぎる。ヒロインも行動力があり勇敢で聡明、ヴィルフリートが好きになるのも納得いくヒロイン像でした。
今年リリースの作品の中でも、屈指の出来だと思います。黒井さんのファンじゃなくても、シリーズの他作品を聞いてなくても聞ける内容なので、18推好きはぜひ聞いてと言いたい作品です。