偏愛シチュエーション

18推CD、同人音声の感想ブログです。内容にふれているため自衛お願いします。

隠し鬼(CV:茶介)

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同人サークルBoneCage発ヒロインが昔助けたあやかしに異世界へ連れていかれ、もてなしを受けるDL作品。

近頃ヒロインは、鈴の音の幻聴に悩んでいました。男友達と電話で話していると、呼び鈴が鳴ります。インターホンに出ると、先日お世話になった狗杖(くじょう)ですと名乗る男の声が。扉を開けて欲しいと言われるも、ヒロインに心当たりはなく。ヒロインが子どもだった頃、神社の裏で小さな犬の木像と遊んでいたことを言い当てる男。ヒロインはその柴犬のような木像にわんわと名付けよく遊んでいて、彼はその木像だと言うのです。幼い頃の記憶を思い出したヒロインは玄関の扉を開け狗杖と対面、着物姿の青年がそこにいました。狗杖はヒロインの成長を喜び、犬の木像よりこの姿の方がいいでしょうと言います。明日迎えに来るから待っていて欲しい、呼び鈴が鳴ったらまた自分を迎え入れるよう告げる彼。口調は穏やかながら、強調して約束を守るよう言い聞かせます。

 

次の日の夜、やって来た狗杖を迎えるヒロイン。彼女の手を取り目を閉じるよう指示、言われた通りにすると一瞬で見覚えのない光景が。ここは狗杖の領域とのことで、現世ではないよう。君が気に入るよう整えた、と彼の屋敷へ行くことに。二人を出迎えたのは犬の顔を持つ二足歩行の存在で、彼らは小間使いだと言います。ヒロインが気に入るよう犬の姿にしたと言う狗杖、嫌だったら潰して作り直そうかと口にしたり物騒な様子。ヒロインは慌ててこのままでいいと主張、彼女には優しいけど小間使いにはしゃべりが冷たく態度も違い過ぎます。幼い頃のヒロインのことを嬉々として話し、恩人と呼ぶ狗杖。恩返しと言えばご馳走、とヒロインに振るまいます。色んな肉が好きと楽しそうに話しつつ、人間の肉が一番好きとか笑えないんだけど。狗杖にあーんされ食べさせてもらったり、香りの強いお酒を楽しんだり。酒が回ったヒロイン、隣に床を準備してあると運ばれることに。

 

酒で体が火照ってるとヒロインの服を脱がし、マッサージをする狗杖。肌を舐められても抵抗しないヒロイン、欲求を引き出され抱かれることに。人間と交わるのははじめてなのか、ヒロインの反応を見ながら冷静に触るのが奇妙な印象。下着を脱がせるのに破いたり、こうすると人間のメスは泣いて喜ぶんだろうとか、行動や言動がヤバいです。人を食わずに犯すなど妙な趣味だと思っていた、と発言があまりにも物騒。わずかな時間でどんどん吸収し人間の女の扱い方を学ぶのですが、ヒロインを抱きながら馬鹿にしているのがあまりにも矛盾しています。

 

狗杖に誘われ温泉に入ったりしつつ、屋敷で過ごすも家に帰りたいと訴えるヒロイン。ここに何が足りないのか、人が足りないのかと聞く狗杖。何十人か集めてここに村を作ってもいい、消えても誰も探さないような者を連れてくれば、とか人の気持ちが理解出来ない様子。その時、侵入者が現れたと小間使いがやって来ます。狗杖は外に行き、残った小間使いに家に帰してと頼み込むヒロイン。説得しようとする小間使いを振り払い外に出るべく走るも、向かった先には狗杖の姿が。役に立たないと小間使いを壁に叩きつけ、一瞬にして彼を葬る狗杖。凄惨な光景に身をすくめるヒロインを捕らえ、淡々と責める狗杖の口調が怖いよ。自分のせいで下郎を死なせた、自分も同じ目に遭うのではと恐れているんだろう、とヒロインを責めます。自身の愚かさを追及され、衝撃の真実を聞かされることに。

 

人外と人との関わりとエロを描いた作品で、恩返しと思ってもてなされてたら実は、という内容でした。女性向け音声の人外は尋常ならざる力を持ち、海のように広い心の持ち主だったり都合がいいことが多い中(そういうキャラクターも好きですが)、これはどこまでも分かり合えない相手との違和感を描ききった作品かと。ヒロイン含め人間全てを馬鹿にしていて、ヒロインでさえ家畜のような存在とか、どれだけかけ離れているのか。とは言えヒロインに情がないわけではなく、孤独から救ってくれた彼女への思慕や長すぎる時を過ごす苦悩が見えたり、胸中は複雑なようです。軽率で愚かな女として描かれ、「こうなったのは自業自得」と思わせるヒロイン像があまりにも辛辣。同情出来ない愚かなヒロインであるほど、男性キャラクターの好感度が上がる構図が天才かと思いました。狗杖の指摘が的確で、ヒロインを悪く言っても彼の言う通りだと思ってしまう。人外であることをしっかり表現しつつ狗杖の株を上げる手法が、リスナーのヘイト管理として上手すぎる。


収録が非常にスムーズだったという茶介さん、普段は穏やかな語りながら怒りや恨みをにじませたり、観察する調子でヒロインを抱く声など、感情表現の複雑さにうなりました。