偏愛シチュエーション

18推CD、同人音声の感想ブログです。内容にふれているため自衛お願いします。

風俗で奨学金を返そうとする女の子と、隣に住むろくでもないバンドマンの話。(CV:一夜愛)

同人音声サークル紅差しのDL作品「風俗で奨学金を返そうとする女の子と、隣に住むろくでもないバンドマンの話。」声は一夜愛さん。過激な印象のタイトルですが純愛作品です。

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ヒロインは奨学金看護学校に通う女子学生。彼女は奨学金返済のため風俗店に勤める決心をします。面接後、早速お店に出ることに。はじめての客は先輩に連れてこられたという無愛想な青年。ヒロインの顔を見た青年は驚きます。彼はヒロインが住むボロアパートの隣の部屋に住む男性で、ヒロインが風俗店にいることに困惑。彼の名前は中瀬椿(なかせ・つばき)。ヒロインにいくら金が必要か尋ねる中瀬。風俗で働いてメンタルを壊す心配をされ、「こんなところで働くな」と彼女を店から連れ出します。アパートに着き、中瀬は百万もの大金をヒロインに手渡し。彼は人気上昇中のヴィジュアル系のバンドマンで、ボロアパートに住んでいるものの金銭的には困っていないようです。受け取れないと言うヒロイン、お金を受け取る見返りとして中瀬に夕飯を作ることを提案されます。翌日、食事を用意したヒロインの部屋にやってくる中瀬。ヒロインの部屋で一緒に食べることに。以後、食事を通して交流を深めていく二人。中瀬はヒロインに気安く話し、対してヒロインは敬語で控え目に接しているようです。



中瀬がヒロインの部屋で食事を一緒に取るようになって一ヶ月、食事中隣の中瀬の部屋からチャイムが鳴る音が聞こえてきます。以前中瀬と関係を持った女性によるもので、中瀬に未練があるらしい彼女は中々帰る気配がありません。ヒロインの部屋から中瀬が出てくるのを見られたらヒロインに迷惑がかかる、やり過ごすため泊っていいかと中瀬は聞きます。ヒロインは申し出に応じます。就寝時、女性が来てからよそよそしくなったヒロインにキスする中瀬。「バンドマンはクズと思った?」と聞きます。キャバクラ嬢とセックスして貢がせたり複数の女性と関係を持ったりと、だらしない生活を送っていたことを白状。普通の女性であるヒロイン相手に真面目に振るまっていたけど、女性関係がバレてヤケを起こしたようでヒロインに迫ります。未経験のヒロインを意地悪に攻め感じさせ、入れる前に「彼女になって」と言う彼。こう書くとセックスしたくて告白したみたいですが、彼なりの誠意でヒロインと距離を縮めたくて告白した様子。それに対しての返事はまさかの「ごめんなさい」。やっぱりバンドマンと付き合うのなんか嫌だよな、と明らかに動揺した声で話す中瀬にヒロインは申し訳なさそう。今まで通り、お隣さん同士として付き合おうと中瀬は提案します。



タイトル通りヒロインが風俗で働こうとしていたり、バンドマンの女性関係が派手だったりと過激な印象を受けますが、風俗でのシーンはごくわずか。ヒロインが風俗で仕事することはなく、隣に住んでいる中瀬との交流中心に話が進みます。現代設定だけどボロアパートに住んでいたり、隣同士の男女で夕飯食べたりと空気感がなんだか昭和。話が進むと伏せられていた事実を知ることになるのですが、ドラマチックな描き方をしていないのが良かったです。脚本やキャラクターが魅力的で、特に良く感じたのは描き方。街のざわめきや鍵を開ける音、砂利の上を歩く音とか生活音の使い方が非常に上手く臨場感があり「ほんとにこんなことがあったのかも」と思わせる説得力がありました。二人が生活している様子が淡々と繊細かつ丁寧に描かれ、大仰ではない作風が良質な日本映画を観ているかのような。日常シーン中心で、エロがあまり多くないのがまたいい。エロに行くタイミングが早いと関係が変化してしまうだろうし、日常の積み重ねがあるためリスナーも自然な流れで感情移入して聞けると感じました。物語が最後まで描かれることなく終わるのも美しいなと。号泣するより余韻を残す最後で、その後を想像させる終わり方でした。思い出して泣けてくる作風にじーんとします。ラブさんの演技もまだ距離が近くない時の気安くチャラさがあるしゃべりや、感情が溢れる崩れそうなしゃべりの演じ分けが見事でした。